脾臓は胃の隣にある臓器であり、役割は造血機能、免疫機能、血球の破壊および血液の貯蔵機能がある。これらの機能は他の臓器で代償できるため、脾臓に問題が生じた時に摘出することが多いです。摘出する多くの場合は脾臓腫瘍であり、良性または悪性と様々です。犬の場合、良性の多くは血腫で、脾臓の中の一部の血管が破綻し、脾臓内で出血がおこります。原因としては老齢性による脾臓内の循環障害、脾臓の捻転、物理的な脾臓の損傷などがあります。悪性の場合は血管肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫、形質細胞腫および組織球肉腫など様々あり、腫瘍の種類により予後も変わってきます。診断は針生検の他、一般的には開腹して脾臓を摘出後、病理組織検査によって診断し、その後の治療および予後を把握するのが望ましいです。
この症例は3日前に一度嘔吐し、その後、元気が失くなったという犬で、検査結果により脾臓に5センチほどの腫瘤が認められたため、脾臓を摘出しました。摘出した脾臓は一部破裂しており、出血痕が認められました。病理組織検査の結果は血腫とわかり、手術後は元気になりました。