1か月前より、下痢・軟便を繰り返し痩せてきたM・ダックス(8歳)が来院しました。血液検査でアルブミン(栄養性タンパク)の低下1.3g/dl(正常値2.2-4.3)、白血球19700/μlの増加がみられました。超音波検査で腹水が確認されました。蛋白漏出性腸症の症状です。確定診断をするには全身麻酔をして、腸管の病理診断をする必要があります。しかしアルブミンが1.3では、手術しても腸がくっつかない可能性が高いです。内科療法(副腎皮質ホルモン、輸血、血漿輸血)でアルブミンを2.0まで上げなければ手術は不可能。初診時から42日目、アルブミンが1.9で手術を決行。手術日、翌日と輸血をし、アルブミン低下を回避。PA230833.JPG

切除した小腸の断面 小腸の粘膜の肥厚がみられました。

病理診断はリンパ管拡張症。病理所見は絨毛の浮腫、固有層のリンパ管は顕著な拡張があり、少数の形質細胞とリンパ球浸潤を伴っています。粘膜下組織及び筋層間のリンパ管も軽度な拡張を示しています。

手術後は副腎皮質ホルモンの投与はなく、食事はヒルズのr/dと乳酸菌製剤で管理し、術後14日目に無事退院できました。その後アルブミンの低下はなく現在でも元気に過ごしております。