血液検査は、獣医臨床の中で最も便利かつ実用性のある診断ツールのひとつです。 血液成分は、病気に反応し早い段階で変化し、かつ血液は容易に採取でき、近代的な機器を使用して短時間で評価することができるので、その実用性は高く、また経済的です。 そこで今回は、血液検査の中でも、赤血球・白血球・血小板を評価できる血球系についてのお話をしたいと思います。

赤血球(RBC:Red Blood Cell)

赤血球は骨髄で産生され、組織の細胞に酸素を運搬すること、また組織から肺へ二酸化炭素を運搬するという機能を担っています。このガス交換を容易にするため、赤血球はガスを運搬するためのヘモグロビンを多量に含みます。血液が赤い事はヘモグロビンに由来しています。 赤血球が少ないと、いわゆる貧血という状態に陥り、酸素が体中に行き渡りにくくなるため、呼吸が苦しくなったり、運動不耐性という症状を引き起こすことがあるのです。

白血球(WBC:White Blood Cell)

白血球は好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球からなります。

好中球ー微生物による組織侵襲に対するファーストディフェンス機構として、細菌を殺滅し、真菌やウイルスを傷害しその破壊に関与します。

好酸球ー全身性の過敏性反応の主要な構成要素として関与し、寄生虫やアレルゲンが、肥満細胞に反応すると、肥満細胞はヒスタミンを放出し、好酸球を引き寄せます。

好塩基球ー好塩基球の顆粒はヒスタミンやヘパリンを含み、こちらも過敏反応などで重要となってきますが、血液中での割合は非常に少ないです。

リンパ球ー特異的免疫システムを担う細胞であり、抗体を産生するBリンパ球、サイトカインの産生・放出を介し細胞性免疫を担うTリンパ球からなります。

そのため、一口に白血球が多いと言っても、白血球のなかのどの細胞が多く出ているか、また少ないかを判別するために、実際に顕微鏡を覗いて診断を行うということが非常に重要となります。

血小板(platelets)

血小板は正常な止血に不可欠であり、微小な血管内皮損傷部を覆うことで血管の健全性を維持し、血小板栓を形成することで止血を促します。 また止血だけでなく血管の修復を促すという機能持ちます。 一般的には10万個以上あれば止血能力には問題ないと言われています。

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