動物病院ではいわゆる「できもの」が見つかったとという主訴で病院にいらっしゃる場合も多く見受けられます。
できものとは俗称ではあり、タイトルの腫瘍とは≠ではありません。
では腫瘍の定義はどんなものなのかというと「組織、細胞が生体内の制御に反して自律的に過剰に増殖することによってできる組織塊」となります。要約すると、私達人間も含めてですが、身体のコントロールを外れてほぼ無限に増殖を繰り返す細胞であり、その調節を外れた無限増殖の結果、いわゆる「できもの」として通常の身体構造では認められない組織塊として認識されるようになります。ただ、人間の目や触ってわかるような塊になるまでは約一億個以上の細胞数に達しないと発見はできません。
人間であれば、血液を使って腫瘍マーカーを測定することによって早期の発見を行える可能性がありますが、動物の場合はまだ有用な腫瘍マーカーは認められず、腫瘍の発見には実際に腫瘍塊を見つけてと検査を行い、初めて診断ができるという場合がほとんどです。
それでも、早期に発見をして治療を行う場合の方が病気が進行してから治療に入るより治療成績が良いので、早めのご来院をおすすめしています。複数のできものができていたり、急速に大きくなったり、硬い食感、赤くなっている、出血しているなどは一つ診察を受けていただきたいサインになります。
写真はちょっとわかり辛いですが、全身性に複数箇所の皮膚が盛り上がってできものを作っています。針生検を行った結果、リンパ腫(皮膚型)でした。悪性腫瘍の場合ですと転移を起こしたり、治療を行うだけの体力がなかったりと難しい場合もあります。早期発見、早期治療はどんな病気でも基本となりますので、気をつけていただけたらと思います。
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