アトピーとは、イヌおよびネコにおける遺伝性疾患の一つで、慢性掻痒が特徴的です。

口や鼻から吸入、または経皮的に体に取り込まれた環境アレルゲンによって発症します。

環境アレルゲンとして考えられているものとしては、ハウスダストマイト・カビ・花粉、また食物アレルゲンとしては牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、卵、米、大豆などが考えられています。

しかし、痒みが見られるからと言ってすべてがアトピーというわけではありません。

痒みを示す疾患は、細菌感染症に始まり、マラセチアなどの真菌感染症、コッカーなどでよく見られる脂漏症、ノミやダニなどの外部寄生虫、また腫瘍など多岐に渡ります。

これらの疾患をひとつひとつ丁寧に除外することで、アトピー性皮膚炎は確定することが出来ます。

治療としては抗ヒスタミン薬や、ステロイド剤、必須脂肪酸の投与などが挙げられますが、これらはあくまで対症療法でしかありません。

アトピーは一生涯にわたる問題であることが多いですので、目標はアレルゲンへの暴露をなるべく除去、軽減し、皮膚の恒常性を保つことが非常に重要となってきます。

とても大変なことですが、飼い主さんの努力次第では90%以上の症例が良好に管理されているというデータもあります。