動物の頭は頭蓋骨と呼ばれる、ヘルメット様の骨に覆われており、その骨により生命において重要な臓器である、脳が守られています。また、脳は頭蓋骨の中に単体で存在するのではなく、脳脊髄液と呼ばれる液体が隙間を交通することによって、栄養や様々な情報の伝達を行っています。水頭症という病気は頭蓋において、脳脊髄液量が増加することにより、脳室と呼ばれる脳内の部屋が異常に拡張されることによって引き起こされる病気です。原因は様々ありますが、一般的に生まれ持った病気、先天性と生活していく中で発生する、後天性に分けられます。今回は先天性水頭症についてです。好発犬種は小型犬と短頭種で、チワワやマルチーズ、ポメラニアン、トイプードルやヨークシャーテリアなどです。たいてい数週齢〜1歳までに明らかになることが多いです。症状は程度によって様々ですが、発作が認められることもあります。覚醒度の低下や学習能力の欠如or喪失。過剰な睡眠や過剰興奮、盲目なども認められます。身体検査では泉門と言われる頭蓋骨の骨のつなぎ目が閉鎖不全を起こしていることが多く、大きい半球状型の頭であることが多いです。また、重度の水頭症では外側斜視が認められることも。診断には特徴的な臨床所見と画像診断として、CTやMRIが用いられます。治療には脳圧を下げる処置や薬を使うことが多いです。全てのワンちゃんが症状を示すわけではありませんが、注意が必要です。写真は大きく泉門が閉鎖不全の認められるチワワさんです。ただし、普通の子よりやや頭が大きい程度で、元気食欲は特に問題ありません。