皮膚糸状菌症とは、寄生性真菌の一種である皮膚糸状菌が、毛・爪・角質層などの角化組織に感染する真菌性疾患です。
皮膚糸状菌は、30種以上の亜種に分けられ、イヌやネコを宿主とするもの、土壌に生息するもの、ヒトなどの霊長類を宿主とするものなどに分類されます。イヌやネコが感染するものとして主に、Micosporum canis、M gypseum、Trichophyton mentagrophytesなどが挙げられます。
皮膚糸状菌に感染すると、イヌやネコでは顔や目の周りや耳などの柔らかい部位に、円形の脱毛、発赤、フケなどが認められるようになります。痒みを伴い、掻き毟むしり二次的に細菌感染を引き起こすこともあります。
治療としては、毛刈りや定期的なシャンプーで衛生的に保つこと、また内服薬や外服薬が挙げられます。もちろんこれらを組み合わせて用いることもあります。どちらにせよ、完治までには非常に長い時間がかかるため根気が必要となります。
なお、皮膚糸状菌は免疫力が十分でない子猫や子犬に感染しやすいので、多頭飼いの場合などは注意が必要です。また動物からヒト、ヒトから動物に感染することもある人獣共通感染症ですので、飼い主さんに↓のような症状が認められた場合も注意が必要です。