我々、人間が普段食べているぶどうやレーズンを犬が摂取することで急性の腎不全を引き起こす恐ろしい中毒だということが近年報告されました。ただし、現時点においてもはっきりとした原因物質は特定されておらず、ぶどう自体に含まれているのか、表層に付着しているカビ毒や農薬などの物質が原因なのかもわかっていません。このため、腎臓に対して毒性を示す過程やその中毒量もはっきりとはわかっていません(報告レベルでは20g/kg)。全ての犬がぶどうを摂取したからといって、必ず発症するというわけではないという報告もあります。摂取後に腎不全を発症した犬の臨床像は比較的共通しており,摂取後5~6時間で嘔吐がはじまり,その後に高Ca血症,高P血症,高窒素血症,血中肝酵素の上昇,および尿比重の低下が認められるケースが多いです。その後病状が進行すると乏尿や無尿に至る例の多くが亡くなってしまいます。
治療に関しては、解毒薬は存在せず対症療法を中心とした治療が行われます。1番良いのは食べさせないことです。日常的に危険性を孕むものは愛犬の生活圏から遠ざけるようにしましょう。また、万が一摂取してしまった場合は、すぐに受診していただき、何時どれくらいの量を食べてしまったかを担当医に伝えていただくことが重要です。
写真はオーナー様のご厚意で頂きましたワンちゃんで、レーズンサンドを食べてしまいましたが、幸運にも発症しなかったチワワさんです。中毒全般に言えることですが、食べさせないということが一番のです。お気をつけてくださいね。