胸部乳腺腫瘍摘出手術前のレントゲン 肺には腫瘍を疑う所見はありません。
乳腺腫瘍は雌の犬によくみられる腫瘍です。特徴的な症状は乳腺にしこりとして飼い主さんが触ってもわかります。しこりの大きさは米粒大~数十センチのものまでと様々です。乳腺腫瘍のはっきりとした原因は、まだ明らかになっていません。性ホルモンが危険因子と考えられています。避妊手術の有無や避妊手術の時期が発生率と深く関与するとの報告もあります。乳腺腫瘍の治療は、外科的手術によって腫瘍を切除します。この時に避妊手術をしていない場合は同時に避妊手術を行います。愛犬に出産をさせることを希望しない場合は、早めに避妊手術を受けさせると良いでしょう。手術で摘出した腫瘍は病理検査を行います。犬の乳腺腫瘍では30%蚊ら40%ぐらいは悪性腫瘍です。悪性乳腺腫瘍は乳腺部の他の所への転移や肺への転移が起こりやすいです。(下のレントゲンでは肺に転移した腫瘍が沢山確認できます。)
肺に腫瘍が転移してしまいますと外科的手術で摘出することはあまり行いません。このようにならないように早く避妊手術を行い、また日頃から小さなしこりがないか、体全体を触ってチェックすることが、早期発見につながります。