胃拡張は文字通り胃が高度に拡張した状態で、胃内には消化物、液体またはガスが貯留しています。大型から超大型の胸の深い犬種にお多く発生し、小型犬または猫での発生は稀です。身体検査では前腹部が大きく膨らんで、流涎、おくび、拡張がひどければ、虚脱を呈します。診断は身体検査でもおおよそできますが、一般的に胃捻転がないかレントゲンで確認します。原因は水および食物を多量摂食後の運動、激しい運動、ストレス、幽門(胃の出口)または腸の閉塞および異物など様々です。治療は、原因によって様々ですが、ショック状態であれば、それに対する積極的な治療を行い、経口胃チューブまたは胃の穿刺により胃内の減圧を行います。場合によっては外科的な処置を行うこともあります。
食欲不振および嘔吐の猫が来院し、身体検査により鼓腸が認められたため、レントゲンを撮りました。胃捻転はおこってないものの、高度な胃拡張および鼓腸が認められました。ショック状態ではありませんでしたが、呼吸は苦しそうでした。早速、胃内の減圧をして、異物または閉塞の確認の為にバリウム検査をしました。異物、閉塞などは認められず内科的に治療を行い状態は改善されました。