今回は胸腰部の椎間板ヘルニアについて、重症度分類と治療に関してお話しします。
まず、重症度、Grade分類です。Ⅰ〜Ⅴと分類されており、Ⅰが軽度、Ⅴが重度となります。
症状は神経症状に分類され、背部の痛みに始まり、重度になるにつれて、障害部位に対応した神経の不全麻痺〜完全麻痺と分類されています。また、脊髄の圧迫による炎症に起因されていますので、症状が進行するケースもあります。軽度ですと、中々はっきりとした症状がわかりにくい(例えば何か元気がないかも)ケースもありますので、受診をお勧めいたします。
次に治療についてですが、一般的に軽度であれば内科療法が、重度であれば外科療法が適応となります。外科療法には圧迫部位の特定をMRIにて行い、実際に圧迫物質を除去するといった手術が行われます。内科療法はケージレストと抗炎症・疼痛管理のための投薬治療が主になります。内科療法のうちで一番重要になるのは、ケージレストです。要は安静にするということなのですが、この基準が人それぞれとなってしまって、正確なケージレストができず、治療がうまくいかなくなってしまう場合があります。自宅だと中々、そういったケージを用意できない場合や、同居のワンちゃんと遊んでケージレストが難しいといった場合もありますので、入院をおすすめしております。ちなみにケージレストの基準ですが鼻先からお尻までの体長とした時、「体長の約1.5倍以内」のスペースで運動制限を行うことが重要です。また期間についても1週間から症状に応じて2週間必要になります。その後、運動については1〜2ヶ月かけてゆっくりと運動量を増やしていきます。
一度椎間板ヘルニアを発症した子は再発するケースも多いので、注意が必要となります。